【標題】寒じめほうれんそうに含まれる機能性関与成分ルテインの摂取による視機能改善に関する研究レビュー
【目的】寒じめほうれんそうに含まれる機能性関与成分、ルテインの摂取により健康な成人の視機能改善が期待できるか(リサーチクエスチョン:RQ)を明らかにするため、Participant (P):成人健常者、Intervention (I):ルテイン経口摂取、Comparison (C):プラセボ経口摂取、Outcome (O):視機能の改善をPICOと定め、定性的研究レビューを行った。
【背景】ルテインは眼のビタミンとも称され、サプリメントの摂取により加齢黄斑変性などのリスクを低減することが、米国の加齢性眼疾患研究(AREDS, AREDS2)等から明らかとなっている。しかし、健常者の眼の機能への効果については情報が少ないことから、本研究レビューを行なった。
【レビュー対象とした研究の特性】コクランライブラリー、PubMed、PubMed Central、医中誌に収録されている査読付きの英語および日本語の論文を調査した。前述のようにRQ, PICOを設定し、各研究の質を考慮した上でルテインの機能に関するエビデンスを取りまとめた。ほうれんそうの摂取を通したルテインの視機能改善効果についてもデータベースを検索し、参考文献を取得・考察を行った。
【主な結果】データベースより3報の論文(文献1-3)が選択された。全ての研究は高いエビデンスレベルを示し、1日あたり6から20 mgのルテインを1-12ヶ月摂取することにより、血清ルテイン濃度が上昇しコントラスト感度が改善することが示された。血清濃度はルテイン6-20 mgの介入を1-3ヶ月以上(文献1, 2, 3)実施することで上昇、コントラスト感度は6 mgの介入を3ヶ月(文献1)又は20 mgを3ヶ月(文献2)、10 mgを1年(文献3)実施することで有意に改善した。また、黄斑色素濃度(MPOD)は10-20 mgの介入を3ヶ月以上実施することで上昇した(文献2,3)。以上から、1日6 mgのルテイン摂取を3ヶ月実施することで、健常者の血中ルテイン濃度の上昇、及びコントラスト感度の改善が期待でき、より多量に摂取することで、MPODの上昇も期待できると期待される。
【科学的根拠の質】選択した3報の報告は、すべて二重盲検無作為化対象試験であり、研究の質は高い。しかし各報告において、ルテインの摂取量、介入期間、評価実施時期、被験者の人種や年齢、生活習慣等が異なるため、定量的な解釈に限界があるが、定性的には一貫性が認められ、エビデンスの質は高いと考えられる。 |