標題:「α-リノレン酸経口摂取による血圧が高めの方に適した機能について」
目的:血圧が高めの方がα-リノレン酸を含有する加工食品の摂取により、α-リノレン酸を含有しない加工食品の摂取と比較して血圧が有意に低値を示すか検証することを目的として行いました。
背景:α-リノレン酸はn-3系の二重結合を3個もつ多価不飽和脂肪酸で、アマニ油、エゴマ油に多く含まれています。ヒトの体内では合成できないため食物から摂取する必要があり、必須脂肪酸に分類されています1)。α-リノレン酸の機能性の一つとして、血圧に対する機能が知られています。しかし、血圧が高めの方を対象としたα-リノレン酸の機能について、複数の臨床研究を総合して評価した研究レビューは実施されていませんでした。
レビュー対象とした研究の特性:複数のデータベースを用いて、キユーピー株式会社社員2名で検索しました。該当する論文は2報あり、2報ともランダム化並行群間比較試験(RCT)という信頼性の高い試験方法で臨床研究が実施されていました。
主な結果:採用文献2報の対象者は血圧が高めの方(正常高値血圧)とⅠ度高血圧の方でした。2報とも、α-リノレン酸の摂取により血圧が低下しました。2報中、1報は血圧が高めの健康な日本人を対象とした臨床研究で2)、もうひとつの文献は、血圧が高めのドイツ人を対象とした臨床研究でした3)。日本人を対象とした正常高値血圧者のみで評価した場合でも、同様にα-リノレン酸の摂取により血圧が低下しました2)。正常高値血圧者より低い血圧である至適血圧~正常血圧の日本人に対しては、α-リノレン酸の摂取により血圧が維持されました4)。これらの文献から、総合的に評価した結果、α-リノレン酸の摂取は、血圧が高めの方の血圧を下げる機能があることがわかりました。なお、本届出製品は日本人を想定しているため、日本人の臨床研究結果で用いた摂取量2.6g/日を1日の摂取目安量として設定しました。
科学的根拠(エビデンス)の質:評価した文献は全て信頼性の高い試験系であり、結論に影響するような大きな問題は認められなかったため、エビデンスの質は機能性の評価に値すると考えました。
参考文献
1)国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所、「健康食品」の安全性・有効性情報 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail561lite.html
2)Takeuchi H et al., Antihypertensive effect and safety of dietary alpha-linolenic acid in subjects with high-normal blood pressure and mild hypertension. J. Oleo Sci., 2007, 56:347-60.
3) Andrea B et al. Effects of a rapeseed oil-enriched hypoenergetic diet with a high content of a-linolenic acid on body weight and cardiovascular risk profile in patients with the metabolic syndrome. Br. J. Nutr., 2012, 108:682-691.
4) Kestin M et al., n-3 fatty acids of marine origin lower systolic blood pressure and triglycerides but raise LDL cholesterol compared with n-3 and n-6 fatty acids from plants. Am J Clin Nutr. 1990, 51:1028-1034. |