(ア)表題
機能性関与成分「大豆イソフラボン」及び「ラクトビオン酸」の摂取による健常な成人女性の肌の水分量やバリア機能の機能性に関するシステマティックレビュー
(イ)目的
健常な成人女性が大豆イソフラボンとラクトビオン酸を経口摂取することによりプラセボと比較して肌の水分量やバリア機能の改善効果があるかを検証する。
(ウ)背景
大豆イソフラボンは、大豆に含まれるフラボノイド類であり、弱いエストロゲン様作用を有することが知られている。エストロゲンは、体内でエストロゲン受容体に結合すると、表皮細胞の細胞分裂を促進し、また、皮膚線維芽細胞を活性化してコラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進する。
ラクトビオン酸は難消化性オリゴ糖であり、腸内細菌叢の改善を介した肌機能の改善が考えられる食品成分である。大豆イソフラボンとラクトビオン酸の併用摂取群と大豆イソフラボンの単独摂取群を比較したヒト試験では、併用摂取群は大豆イソフラボン単独摂取群よりも肌機能の改善効果が高かったことが報告されている。これらのことから、大豆イソフラボンとラクトビオン酸を摂取することで、肌の水分量やバリア機能を保ち健康を維持することが期待された。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
健常な成人女性を対象に、大豆イソフラボンとラクトビオン酸を摂取させ、プラセボと比較したときの肌の水分量やバリア機能への影響を検討した文献を評価対象とした。英語及び日本語文献データベースを用いて検索し精査したところ、採用文献は1報となった。
(オ)主な結果
採用文献において、30歳以上の健常な女性に対して、大豆イソフラボン(アグリコン換算)、ラクトビオン酸を12週間摂取させたところ、角層水分量、経皮水分蒸散量はプラセボ群に比べて有意な改善がみられた。本システマティックレビューにより、大豆イソフラボン(アグリコン換算)25mg/日、ラクトビオン酸250mg/日を摂取することにより、肌の水分量やバリア機能を維持する効果が期待できると考えられた。
(カ)科学的根拠の質
研究の限界として、未発表のデータが存在する可能性が否定できない。また、採用文献が1報と極めて少なかった。しかし、採用文献は日本人を対象とした、プラセボ対照二重盲検並行群間試験であり、エビデンス総体の質は中程度と評価し、レビュー結果は信頼できるものであると考えられた。
(ア)表題
機能性関与成分「大豆イソフラボン」及び「ラクトビオン酸」の摂取による健常な成人女性の肌の弾力の機能性に関するシステマティックレビュー
(イ)目的
健常な成人女性が大豆イソフラボンとラクトビオン酸を経口摂取することによりプラセボと比較して肌の弾力の改善効果があるかを検証する。
(ウ)背景
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の三層構造であり、外部刺激からの保護という重要な役割を担う。真皮は主にコラーゲンやエラスチンで構成されており、これらは皮膚の弾力性を保つことで物理的刺激から生体を保護している。加齢や紫外線刺激により、これらの物質が減少すると、肌の弾力性が失われ、外力による圧迫や摩擦、ずれなどの物理的な刺激への抵抗性が減弱する。したがって、皮膚の弾力性を保つことは皮膚の健康を維持するために重要である。
大豆イソフラボンとラクトビオン酸は、弱いエストロゲン作用および腸内環境改善作用により、肌機能の改善に寄与すると考えられる食品成分である。よって、大豆イソフラボンとラクトビオン酸を摂取することで、肌の弾力を保ち健康を維持することが期待された。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
健常な成人女性を対象に、大豆イソフラボンとラクトビオン酸を摂取させ、プラセボと比較したときの肌への影響を検討した文献を評価対象とした。英語及び日本語文献データベースを用いて検索し精査したところ、採用文献は1報となった。
(オ)主な結果
採用文献において、30歳以上の健常な女性に対して、大豆イソフラボン(アグリコン換算)、ラクトビオン酸を12週間摂取させたところ、皮膚粘弾性(R5, R2, R7, R1)はプラセボ群に比べて有意な改善がみられた。本システマティックレビューにより、大豆イソフラボン(アグリコン換算)25mg/日、ラクトビオン酸250mg/日を摂取することにより、肌の弾力を維持する効果が期待できると考えられた。
(カ)科学的根拠の質
研究の限界として、未発表のデータが存在する可能性が否定できない。また、採用文献が1報と極めて少なかった。しかし、採用文献は日本人を対象とした、プラセボ対照二重盲検並行群間試験であり、エビデンス総体の質は中程度と評価し、レビュー結果は信頼できるものであると考えられた。 |