当該製品は、血糖値の上昇抑制と、血中中性脂肪の上昇抑制という2つの機能を表示しようとしているため、それぞれについての評価を示す。
1)血糖値の上昇抑制
【標題】
難消化性デキストリンの食後血糖上昇抑制効果の検証
【目的】
健常成人に対して難消化性デキストリンを摂取することによる、食後血糖値の上昇抑制作用の有効性検証を目的とした。
【背景】
現在、糖尿病患者数の増加は、超高齢社会を迎えた日本において極めて深刻な問題のひとつとなっている。糖尿病の治療方法としては、食事療法、運動療法、薬物療法が一般的であり、食事療法は、血糖値管理による症状の安定化、合併症の予防を目標として実施されている。糖尿病に罹患しないためには、食事療法などにより血糖値をコントロールすることが非常に重要である。食物繊維の摂取による2型糖尿病の発症リスクの改善効果が報告されており、食物繊維が有する血糖値調節効果が期待されている。
【レビュー対象とした研究の特性】
文献検索データベースから、疾病に罹患していない健常並びに境界域の成人を対象とし、試験群として難消化性デキストリンを含有した食品(または飲料)を使用し、対照群にプラセボ食品(または飲料)を用いて評価した論文を収集した(2015年1月5日検索)。論文の対象期間は検索日までのすべての期間とした。最終的に43報を採用し、評価を行った。なお、本研究レビューは、難消化性デキストリンの製造者である松谷化学工業(株)の資金により行われた。
【主な結果】
特定保健用食品の「食後血糖値の上昇関係」における評価指標としても採用されている「食後血糖値(30, 60分)」および「食後血糖値の濃度曲線下面積(食後0~120分までの血糖値推移の総量)」を統計解析した結果、3つの指標全てで有効性が確認された。
【科学的根拠の質】
本研究レビューは十分な被験者数で評価されており、効果のない未発表論文を想定しても相当数存在しない限り効果が覆ることはないと判断した。これらのことより科学的根拠の質は高いと判断した。ただし、今後の研究によっては結果が変わる可能性があるため継続した調査が必要であると考える。
2)血中中性脂肪の上昇抑制
【標題】
難消化性デキストリンの食後血中中性脂肪上昇抑制効果の検証
【目的】
健常成人および血中中性脂肪が高めの軽症者に対して難消化性デキストリンを摂取することによる、食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用の有効性検証を目的とした。
【背景】
現在、我が国におけるメタボリックシンドロームをはじめとした生活習慣病の患者数が増加しており、生活習慣病は動脈硬化疾患や虚血性心疾患を誘発する要因となっている。近年、食後に血中中性脂肪値の高い状態が長時間継続する食後高脂血症が、動脈硬化症や冠動脈疾患の発症を早めるリスク因子であることが明らかとなってきた。そのため、食後血中中性脂肪値の上昇を抑制する食品素材が注目視されており、難消化性デキストリンは、食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用を有することが報告されている。
【レビュー対象とした研究の特性】
文献検索データベースから、疾病に罹患していない健常並びに、血中中性脂肪が高めの成人を対象とし、試験群として難消化性デキストリンを含有した食品(または飲料)を使用し、対照群にプラセボ食品(または飲料)を用いて評価した論文を収集した(2015年6月25日検索)。論文の対象期間は検索日までのすべての期間とした。最終的に9報を採用し、評価を行った。なお、本研究レビューは、難消化性デキストリンの製造者である松谷化学工業(株)の資金により行われた。
【主な結果】
特定保健用食品の「食後の血中中性脂肪値の上昇関係」における評価指標としても採用されている、「食後2, 3, 4時間の血中中性脂肪値(mg/dL)」「食後0時間から6時間までの血中中性脂肪値の濃度曲線下面積(mg・h/dL)」の実測値および変化量とし、難消化性デキストリン摂取群および対照群の測定値を抽出し、統計解析を行った結果、8つの指標全てで対照群と比較して有効性が認められた。
また、採用論文9報について確認したところ、全ての論文に空腹時血中中性脂肪値が高めの者が含まれていた。そこで、9報のうち原データを確認できる論文1報について、健常成人(空腹時血中中性脂肪値150mg/dL未満)のみで再度評価を行った。その結果、健常成人においても、難消化性デキストリン摂取群は対照群と比較して、食後血中中性脂肪値の有意な低下が認められた。
【科学的根拠の質】
本研究レビューは十分な被験者数で評価されており、未公表論文を想定しても、統合効果量は有意のままであったことから、科学的根拠の質は高いと判断した。ただし、今後の研究によっては結果が変わる可能性があるため継続した調査が必要であると考える。 |