【標題】
ロスマリン酸による精神状態を良好に保つ機能に関するシステマティックレビュー
【目的】
健康な人がロスマリン酸を摂取した際に精神状態を改善するかを検証するため本研究レビューは実施された。
【背景】
厚生労働省が公示している「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」1)において、職場における心身のケアの重要性が示されており、成人以上の心身、特に精神的な問題をどのように解決・改善するかは、公益上の大きな課題の1つである。そのため、精神状態を健康的に維持するためセルフケア方法、つまり個人で実施可能であり、ストレス低減、精神状態を改善する方法を提供することは、健康の維持増進において公共の利益に資するものであると考えられる。ロスマリン酸の精神状態への作用について、精神的不調に関与するGABAA受容体を介したものであることがいくつかの研究により示唆されている。4)-5)。
そのため、ロスマリン酸の経口摂取により精神を健康に維持することができると考えられた。本研究レビューは、ロスマリン酸が精神の健康に資するかを検証する目的で実施された。
【方法】
健康な人に対してロスマリン酸を経口摂取させた際の、精神状態の変化を評価項目として設定している臨床試験を日本語並びに外国語文献のデータベースより抽出した。文献の採用基準は無作為化、盲検化が行われている比較試験の査読付き論文とした。また、評価指標として本邦または、国際的にコンセンサスの得られている項目とした。
【レビューを対象とした研究の特性】
査読が行われており、無作為化かつ盲検化が行われた並行群間比較試験またはクロスオーバー比較試験に関する文献を対象論文とした。介入方法はロスマリン酸の経口摂取とし、対照群としてプラセボ品の経口摂取又は非摂取を条件とした。結果として3報の文献を評価対象とした。
【主な結果】
2023年1月12日にPubMed, Cochrane Library, 医中誌webの3種のデータベースとハンドリサーチよりそれぞれ11報、17報、15報、1報の臨床試験論文が抽出され、最終的に3報の文献を採用した。採用された文献は国内外で実施された臨床試験に関するものであった。対象者数は21-42人、年齢は65歳未満の成年者であった。摂取期間は単回~4週間であり、ロスマリン酸の1日摂取量は、8~36mg/日であった。定性的な統合並びに評価を行った結果、バイアスリスクとして解析方法における問題が認められたが、全ての採用文献は盲検化が行われたRCT試験の査読付き論文であり、エビデンスの質は高いと評価された。本研究レビューでは、ロスマリン酸の精神状態に対する作用について肯定的な結果が得られた。また、エビデンス総体として肯定的かつ十分な質であると判断された。
【科学的根拠の質】
バイアスリスクについて、解析手法における懸念やその他のバイアス(出版バイアス)などのバイアスリスクの影響は見られ、バイアスリスクの程度は総体として中程度と判断された。非直接性について設定されたPICOに合致していたため低程度と判断された。非一貫性について低程度であると判断され、不精確性については低程度と判断された。本研究レビューで採用された3報の文献は全て盲検化かつ無作為化が行われたRCT試験の査読付き論文であったことを鑑みて、エビデンスの強さは中(B)と判断された。
一方で本研究レビューには以下の限界が存在する。
1) 信頼性の高いRCT試験であったものの、出版バイアスの可能性が否定できない
2)採用文献は3報と多くはなく、今後の研究報告によってはエビデンスの質が低下する可能性がある。
【標題】
ロスマリン酸による精神状態を良好に保つ機能に関するシステマティックレビュー
【目的】
健康な人がロスマリン酸を摂取した際に睡眠に関する指標を改善しうるかを検証するため本研究レビューは実施された。
【背景】
今日までの研究成果や経験則によって分かる通り、良質な睡眠が健康に寄与することが論を俟たない。そのため、睡眠を改善するような方法の提供は国民の健康を維持するために重要であるといえる。
【方法】
健康な人に対してロスマリン酸を経口摂取させた際の、睡眠関連の指標を評価項目として設定している臨床試験を日本語並びに外国語文献のデータベースより抽出した。文献の採用基準は無作為化、盲検化が行われている比較試験の査読付き論文とした。また、評価指標として本邦または、国際的にコンセンサスの得られている項目とした。
【レビューを対象とした研究の特性】
査読が行われており、無作為化かつ盲検化が行われた並行群間比較試験またはクロスオーバー比較試験に関する文献を対象論文とした。介入方法はロスマリン酸の経口摂取とし、対照群としてプラセボ品の経口摂取又は非摂取を条件とした。結果として4報の文献を評価対象とした。
【主な結果】
2023年1月25日にPubMed, Cochrane Library, 医中誌webの3種のデータベースよりそれぞれ7報、22報、12報の臨床試験論文が抽出され、最終的に4報の文献を採用した。採用された文献は国内外で実施された臨床試験に関するものであった。対象者数は42-142人、年齢は18-64歳の成年者であった。摂取期間は4週間~3ヵ月間であり、ロスマリン酸の1日摂取量は、8~130.5mg/日であった。定性的な統合並びに評価を行った結果、バイアスリスクとして解析方法における問題が認められたが、全ての採用文献は盲検化が行われたRCT試験の査読付き論文であり、エビデンスの質は高いと評価された。本研究レビューでは、ロスマリン酸の睡眠に対する作用について肯定的な結果が得られた。また、エビデンス総体として肯定的かつ十分な質であると判断された。
【科学的根拠の質】
バイアスリスクについて、解析手法における懸念やその他のバイアス(出版バイアス)などのバイアスリスクの影響は見られ、バイアスリスクの程度は総体として中程度と判断された。非直接性について設定されたPICOに合致していたため低程度と判断された。非一貫性は論文数の少なさから中程度であると判断され、不精確性については低程度と判断された。本研究レビューで採用された4報の文献は全て盲検化かつ無作為化が行われたRCT試験の査読付き論文であったことを鑑みて、エビデンスの強さは中(B)と判断された。
一方で本研究レビューには以下の限界が存在する。
1)信頼性の高いRCT試験であったものの、出版バイアスの可能性が否定できない
2)採用文献は4報(3試験) と多くはなく、今後の研究報告によってはエビデンスの質が低下する可能性がある。 |