<睡眠の質(眠りの深さ)>
【標題】GABAの摂取による睡眠の質(眠りの深さ)の改善に関する研究レビュー
【目的】GABA摂取による睡眠の質(眠りの深さ)を改善する効果について検証することを目的とした。
【背景】GABA摂取により、精神的ストレスがかかる作業における一時的な疲労感を軽減することや、睡眠の質を改善することが既に報告されている。そこで、健常成人に対してGABAの摂取による日常生活における睡眠の質(眠りの深さ)改善への効果を研究レビューにて検討した。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、健康成人対象でGABAまたはプラセボ摂取時を比較した試験で脳波を評価している文献を2報採用し評価した。
【主な結果】GABA摂取(100 mg/日)の効果として、採用文献2報で、深い睡眠時間の有意な増加を示した。また1報では、ストレス状況や疲労感の違いによる層別解析を実施した場合、一時的な疲労感やストレスをより強く感じている人のノンレム睡眠ステージ3の時間が、GABA摂取時はプラセボ摂取時と比較して有意に増加した。以上のことから、GABAは、睡眠の質に不満を持ち、かつ、一時的な疲労感やストレスを感じている者において、睡眠の質(眠りの深さ)を向上させる効果が認められた。
【科学的根拠の質】採用された研究論文は査読付きランダム化二重盲検コントロール比較試験であり、客観的評価指標である脳波であるため、科学的根拠の質は高いと考えられる。本研究レビューの限界として、報告数が少ないことから、バイアスの存在が完全に否定できないことが考えられる。
<肌の弾力>
【標題】GABAの摂取による肌弾力の維持機能に関する研究レビュー
【目的】GABAの摂取による健康な成人男女の肌弾力を維持する効果について検証することを目的とした。
【背景】真皮の主成分である弾性線維は皮膚・動脈・肺などに多くあって、各臓器の伸縮性を担っており、加齢や紫外線等の影響で劣化すると報告されている。弾性線維の低下による真皮層の菲薄化は、皮膚の脆弱性(スキン-テア)に繋がるとも考えられる。皮膚の脆弱性予防は国民の健康的な生活維持にきわめて重要である。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語のデータベースを検索し精査した結果、健康な成人を対象とし、GABAとプラセボを比較した試験で、肌の弾性を評価している1報を評価対象とした。
【主な結果】採用文献において、GABA(100 mg/日)摂取により健康女性における肌弾力低下を緩和する効果が確認された。肌の構造は全身で共通であり性差もないことから、GABAは男女ともに対して肌の弾力を維持し肌の健康を守るのを助ける機能があると評価した。
【科学的根拠の質】採用文献はランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の査読付き論文であり、評価指標も国内外において広く用いられている手法であることから、科学的根拠の質は問題ないと判断した。限界として、採用文献が1報と少ないため出版バイアスは否定できず、今後さらなるエビデンスの蓄積が望まれる。
[1] 針谷毅ら.アレルギー, 49, 463-471 (2000)
[2] 相生章博ら.和歌山医学, 53, 113-120 (2002)
[3] 佐藤育子ら.月刊ナーシング, 26, 98-103 (2006)
[4] 福田悠.弾性線維と疾患.Connective Tissue, 24, 135-140 (1992)
[5] 2018年1月24日 中央社会保険医療協議会 総会 第386回議事録(厚生労働省HPより) |