1.標題:魚由来低分子コラーゲンペプチドによる肌の水分量保持に関する研究レビュー(システマティックレビュー)
2.目的:
肌の乾燥が気になる健常者が、魚由来低分子コラーゲンペプチドを摂取した場合と、魚由来低分子コラーゲンペプチドを摂取しない場合とで、角層水分量の保持について違いがあるかどうかを評価した。
3.背景:
コラーゲンペプチドの経口摂取後に血中に存在することが確認されたペプチドは、角層水分量保持効果に寄与することが報告されている。しかし、基原や分解の程度が異なるコラーゲンペプチドの機能性を同等に評価することは難しい。
魚由来低分子コラーゲンペプチドは、水への溶解度が高くなるよう平均分子量1,000 以下まで分解したもので、体への吸収性が高いことから、低用量での角層水分量の保持効果があることが期待される。魚由来低分子コラーゲンペプチドの経口摂取による、ヒトの角層水分量保持効果を網羅的に解析した研究レビューはないため、新たに研究レビューを行うこととした。
4.レビュー対象とした研究の特性:
英語文献データベースとしてPubMed, Cochrane Library、日本語文献データベースとしてJDreamIII を用い、関連研究を検索した。研究の適格基準は、ヒト試験であること、平均分子量が1,000 以下である魚由来低分子コラーゲンペプチドの角層水分量への影響を評価している研究であること、一次研究の報告であること、査読付きの原著論文であることとした。そして、除外基準は健常者以外の人を対象にした試験の報告、魚由来低分子コラーゲンペプチド以外の成分を併用している報告、明らかに日本人には外挿できない人を対象とした研究の報告とした。
5.主な結果:
文献検索および評価の結果2 例のRCT 研究が該当した。角層水分量の保持効果はエビデンスの強さが中(B)であった。2報の採用文献からエビデンス総体として1日当たり2.5gの魚由来低分子コラーゲンペプチドを経口摂取することにより、プラセボの経口摂取と比較して有意に角層水分量が高値を示すことが検証されました。魚由来低分子コラーゲンペプチドを経口摂取に起因する有害事象はありませんでした。
6.科学的根拠の質:
症例減少バイアス、その他のバイアスに中~高程度のバイアスリスクがあり、バイアスリスク総体として中程度と評価した。非直接性は中程度、不正確性、非一貫性は低程度と評価した。研究レビューの限界として、出版バイアスが不明であり、効果の認められなかった研究が報告されていないリスクがある。また、採用した文献の被験者が中国人女性であるが、作用機序ならびに人種や生活環境、食生活の類似性を考慮し、日本人男女に外装できると判断した。一定の科学的根拠の質が確保されていると判断し、上記結果に重大な影響はないと判断した。 |