(ア)標題
健常者の膝関節の機能改善に対するグルコサミン塩酸塩の有用性
(イ)目的
成人健常者対象の臨床試験において、機能性関与成分グルコサミン塩酸塩が膝関節の機能改善に役立つかを検証する。
(ウ)背景
グルコサミン塩酸塩の摂取が膝関節の機能改善のため、どのような影響を与えているか明らかにする必要がある。
(エ) レビュー対象とした研究の特性
検索データベースのPubMed(最終検索日:2017年2月2日)及び医中誌(最終検索日:2017年2月3日)を対象に文献検索した。検索対象期間は検索日までの全期間。最終的に評価した論文数は1報で、医師が治療を必要としないと判断した膝の痛みを経験した事のある成人健常者46名を、グルコサミン塩酸塩2,000mg/日群(24名)、プラセボ群(22名)の2群に分け、3ヶ月間摂取させたものであった(ランダム化比較試験)。
(オ)主な結果
成人健常者にグルコサミン塩酸塩2,000mgを継続的に摂取させることにより、8週目と12週目のKOOSで膝関連QOLスコアが、グルコサミン群においてプラセボ群よりも有意に改善したことから、膝関節の機能改善に役立つことが示された。
なお、5人(33%)にマイルドな副作用を認めたが、試験から除外されるものでも無かった。
(カ)科学的根拠の質
健常者の膝関節の機能改善の検証のため、膝機能関連スコアで評価を行った。被験者群は同一母集団より選抜しており、偏りの存在は非常に低い。本知見の一般化可能性は高く、グルコサミン塩酸塩の摂取が日常生活や運動時負荷に対する膝関節の機能改善に役立つことが示されたと考えられる。本研究レビューに採用した文献は1報であったが、どの評価項目も参加者に対する改善効果としては重要度が高いものであり、グルコサミン塩酸塩2,000mgの継続的な摂取は成人健常者の膝関節機能に有用な効果をもたらすと結論付けた。本文献の対象者はオーストラリア人であるが、生活レベル等は日本と同等であり、日本人に外挿可能と考えられる。疾患のない健常者の膝関節部位を特定した機能検証では、放射線や外科的処置を用いる観察は倫理的に問題があり、現段階では問診による評価指標スコアに用いて臨床研究を行う他なく、本採用論文の研究手法が研究の限界だと考えられる。 |