当該製品は、睡眠の質(眠りの深さ、起床時の眠気)の改善に役立つ機能と、肌の水分を保持する機能という2つの機能性を表示しようとしているため、それぞれについての評価を示す。
〈睡眠の質(眠りの深さ、起床時の眠気)の改善に役立つ機能〉
【標題】GABAの睡眠改善効果について。
【目的】健康な成人日本人がGABAを含む食品またはGABAそのものを摂取した場合と、GABAを含まない食品を摂取した場合で、睡眠改善効果に違いがあるかどうかを検証することを目的とした。
【背景】GABAを配合した本機能性表示食品を販売するにあたり、GABA配合食品の機能について検証するため、本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】2017年7月25日に、2017年7月までに発表された論文を対象にして検索を行った。レビュー対象は、健康な成人を研究対象とし無作為化対照試験(GABAを含む食品を摂取する人とGABAを含まない食品を摂取する人を無作為に分け、それぞれの結果を照らし合わせて評価する試験)またはこれに準じる形の査読付論文(専門家による審査を経た論文)とした。最終的に評価した論文は4報あった。利益相反について、特に問題となるものはなかった。
【主な結果】4報中2報の研究では主観的指標(アンケート)および脳波を用いた客観的指標を、残る2報の研究では主観的指標により睡眠状態を評価していた。これらの指標は一般的に用いられる指標であり、睡眠状態を評価するのに適した指標である。結果として、100mgのGABAを含んだ食品はGABAを含まない食品と比較して、深い睡眠の増加、起床時の眠気の改善の効果が認められた。
【科学的根拠の質】収集した論文の中には、研究方法に偏り(バイアス)があり、結果が正しく出ない可能性があるものがあった。また、効果がないとする研究結果が論文として発表されていない可能性があった。これらの問題点は残るものの、本研究レビューで評価した論文は本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、直接的な科学的根拠として問題のないものであった。総合的に判断して、これらの論文は信頼できる質があると判断でき、GABAの睡眠改善効果を裏付けるものであった。ただし、効果があったとする論文中では被験者は100mgのGABAを摂取しており、この量未満の量を摂取する場合にはGABAの効果は確認されておらず注意が必要である。
〈肌の水分を保持する機能〉
【標題】ヒアルロン酸Na経口摂取による肌の水分保持機能について
【目的】
本研究レビューは、乾燥肌に悩む健常者がヒアルロン酸もしくはヒアルロン酸Naを経口摂取することにより、プラセボの経口摂取と比較して角層水分量が有意に高値を示すか検証することを目的として行った。
【背景】
ヒアルロン酸は、皮膚,関節液など生体内のあらゆる結合組織,器官に存在している。中でも皮膚には体内で最も多くのヒアルロン酸が存在しており、その量は全身に含まれる量の50%を占めると報告されている1)。体内においては、ヒアルロン酸Naとヒアルロン酸は共に溶解し、同様の働きをする。
一方で、ヒアルロン酸Naを経口摂取した機能性について個々の研究は複数実施されているものの、研究全体をまとめたレビューはない。
【レビュー対象とした研究の特性】
英語文献検索サイト、日本語文献検索サイトおよび複数の学会誌のハンドサーチにより、2015年9月7日にキユーピー株式会社社員2名で検索し、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患のない、乾燥肌に悩む健常者がヒアルロン酸もしくはヒアルロン酸Naを経口摂取することによりプラセボに比べて、角質水分量が有意に高値を示すかを検証した臨床研究を選抜した。なお、本研究レビューの採用文献4報のうち1報2)において、対象者は19~70歳の健常な男女であった。これに関して、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書献3)」では、栄養摂取に関する年齢区分の設定を「18歳以上を成人」としている。そのため、18歳以上の未成年を含む論文も成人データとして扱うことは問題ないと考えた。
【主な結果】
文献検索により4報の文献2,4-6)が抽出された。4報の採用文献からエビデンス総体として120mgのヒアルロン酸Naを経口摂取することにより、プラセボの経口摂取と比較して有意に角層水分量が高値を示すことが検証された。ヒアルロン酸Na摂取に起因する有害事象はなかった。
【科学的根拠(エビデンス)の質】
評価した文献の研究デザインは全て信頼性の高い試験系である無作為化コントロール比較試験であり、バイアスリスクの評価は低~中程度であったため、エビデンスの質は機能性の評価に値すると考える。
研究レビューについては、本レビューで採用した研究データ以外にも、未発表の研究データが存在する可能性は否定できない。
研究論文の収集は、主要な医療分野のデータベースを使用して検索をしているものの、効果がないとする研究結果については論文として発表されていない可能性も考えられる。
研究間の結果の違いや各研究のデータのバラつきの評価において、本研究レビューは定性的レビューであるため、定量的な評価ができなかった。そのため、独自の方法で評価を実施した。
実施者であるキユーピー株式会社は本届出商品の機能性関与成分であるヒアルロン酸Naの原料メーカーであり、採用論文4報のうち3報はキユーピー株式会社が著者だが、研究レビューについては著者を除いた社員で公正に実施され、エビデンスと本届出商品に表示しようとする機能性に齟齬はないと考えられる。
参考文献
1)Laurent TC et al., Hyaluronan. FASEBff J, 1992, 6:2397-2402.
2)佐藤稔秀ら, 乾燥肌におけるヒアルロン酸含有食品の経口摂取による改善効果. Aesthetic Dermatology, 2002, 12:109-120.
3) 厚生労働省,「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書」
4)佐藤稔秀ら, 乾燥肌の皮膚水分値に対するヒアルロン酸含有食品の臨床効果. Aesthetic Dermatology, 2007, 17:33-39.
5)Kawada C et al., Ingestion of hyaluronans (molecular weights 800 k and 300 k) improves dry skin conditions: a randomized, double blind, controlled study. J Clin Biochem Nutr., 2015, 56:66-73.
6) 渡邉誠ら, 低分子ヒアルロン酸の経口摂取における美肌効果―プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験―. 薬理と治療, 2015, 43:57-64. |