【標題】
オーラプテンを含む飲料の摂取による認知機能の一部である記憶力への影響の検討
【目的】
オーラプテンを含む飲料を健康な中高年者が摂取することで、プラセボ飲料摂取に比べて、認知機能の一部である記憶力への影響を明らかにすることを目的とした。
【背景】
これまで、認知機能を調べる動物実験により、オーラプテンは記憶力の維持、また記憶力を高める効果が認められる結果(参考文献1)が得られている。このため、健康な中高年者を対象にオーラプテンを含む飲料を摂取させ、プラセボ飲料との比較により、認知機能の一部である記憶力に影響があるか検討した。
【方法】
認知能力や記憶力を示す指標として、認知機能全体の評価はMMSE検査、記憶力の維持及び高める機能の評価は10単語想起テストの3回繰り返しによる検査を実施した。
健康な中高年者84名を対象にプラセボ対照二重盲検無作為化試験を実施した。無作為にオーラプテンが6mg/日含まれる125mlの試験ジュースとオーラプテンが0.1mg/日含まれる同じ容量のプラセボジュースを24週間継続して飲用した。試験開始直後と24週間後にMMSE検査、10単語想起テスト、血液生化学的検査を行い、統計解析にて比較評価を実施した。
【主な結果】
2名が途中で試験参加を中止したため、82名(試験ジュース群41名、プラセボ群41名、年齢(平均±標準偏差:71±9歳)、女性55名、男性27名)を最終分析対象者とした。MMSEで認知症と診断された参加者はいなかったが、試験終了時に3名の参加者が軽度認知障害と診断された。
10単語想起テストスコアの変化率において、試験ジュース群においてプラセボ群との比較により有意に高い(P<0.05)結果であった。このことから、オーラプテンを含む飲料を摂取することは、「健康な中高年者の認知機能の一部である記憶力(言葉を記憶し、思い出す力)を維持する機能」が認められた。
また、本試験ジュースの摂取により血液生化学的検査のパラメーターのいずれも試験中に有意な変化が認められず、試験ジュースが原因と思われる有害事象の発生も認められなかったことからヒトにおける試験ジュースの安全性も確認された。
【科学的根拠の質】
被験者が限定的であること、否定的な文献が公表されていない可能性があることから、科学的な根拠の質は中程度と判断した。
(構造化抄録)
【参考文献1】
Ghanbarabadi M、Iranshahi M, Amoueian S, Mehri S, Motamedshariaty VS, Mohajeri SA.
Neuroprotective and memory enhancing effects of auraptene in a rat model of vascular
dementia. Experimental study and histopathological evaluation. Neuroscience Letters
2016, 623, 13-21. |