標題「ヒアルロン酸Na経口摂取による肌の水分保持機能について」
(ア)背景と目的
ヒアルロン酸は、皮膚,関節液など生体内のあらゆる結合組織,器官に存在している。中でも皮膚には体内で最も多くのヒアルロン酸が存在しており、その量は全身に含まれる量の50%を占めると報告されている1)。
一方で、ヒアルロン酸の機能性について個々の研究は複数実施されているものの、研究成果全体をまとめたレビューはない。そこで本研究レビューは、乾燥肌に悩む健常者がヒアルロン酸もしくはヒアルロン酸Naを経口摂取することにより、プラセボの経口摂取と比較して角層水分量が有意に高値を示すか検証することを目的として行った。
(イ)レビュー対象とした研究の特性
英語文献検索サイトと日本語文献検索サイトを2015年3月3日にキユーピー株式会社社員3名で検索し、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患のない、乾燥肌に悩む健常者がヒアルロン酸もしくはヒアルロン酸Naを経口摂取することによりプラセボに比べて、角質水分量が有意に高値を示すかを検証した無作為化コントロール比較試験(RCT)を選抜した。
(ウ)主な結果
文献検索により3つの文献2)~4)が抽出された。代表例3)の概要を示す。乾燥肌で悩んでいる39名にヒアルロン酸Na120mgまたはプラセボを1日1回朝食後に6週間経口摂取させた。その結果、ヒアルロン酸Na摂取群は皮膚の水分量が増加し、プラセボ摂取群と比べて3週目で有意な高値(p<0.05)、6週目で高値傾向(p<0.1)が認められた。3つの文献から120mgのヒアルロン酸Naを経口摂取することにより、プラセボの経口摂取と比較して角層水分量が有意に高値を示すことが検証された。
(エ)科学的根拠(エビデンス)の質
未発表データが存在する可能性は否定できないものの、同定した研究の収集は科学技術および医療分野の主要なデータベースを使用して調査を実施したため公開されている当該研究はほぼ網羅されている。評価した文献は全て査読付き論文で、研究デザインはRCTであるため、エビデンスの質は機能性の評価に値する。実施者であるキユーピー株式会社は本届出商品の機能性関与
成分であるヒアルロン酸Naの原料メーカーであり、採用された論文もすべてキユーピー株式会社が著者であるが、研究レビューについては著者を除いた社員で公正に実施され、エビデンスと本届出商品に表示しようとする機能性に齟齬はないと考えられる。
参考文献
1. T. C. Laurent and J. R. Fraser, “Hyaluronan,” FASEB J, Vol.6,pp.2397-2402, 1992.
2. 佐藤稔秀ら,“乾燥肌および肌荒れに対するヒアルロン酸含有食品の臨床効果,”Aesthetic
Dermatology, Vol.12, pp.109-120, 2002
3. 佐藤稔秀ら,“乾燥肌の皮膚水分値に対するヒアルロン酸含有食品の臨床効果,”Aesthetic
Dermatology,Vol.17, pp.33-39, 2007
4. Chinatsu Kawada et al., “Ingestion of hyaluronans (molecular weights 800 k and 300 k)
improves dry skin conditions: a randomized,double blind, controlled study,” Journal of
Clinical Biochemistryand Nutrition, Vol.56, No.1, pp.66-73, 2015 |