(ア)標題「ヒアルロン酸Na経口摂取による肌の水分保持機能について」
(イ)目的
本研究レビューは、乾燥肌に悩む健常者がヒアルロン酸もしくはヒアルロン酸Naを経口摂取することにより、プラセボ(効果がないと考えられる擬似食品)の経口摂取と比較して角層水分量が有意に高値を示すか検証することを目的として行いました。
(ウ)背景
ヒアルロン酸は、皮膚,関節液など生体内のあらゆる結合組織,器官に存在しています。中でも皮膚には体内で最も多くのヒアルロン酸が存在しており、その量は全身に含まれる量の50%を占めると報告されています1)。
一方で、ヒアルロン酸の機能性について個々の研究は複数実施されているものの、研究全体をまとめたレビューはありません。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
英語文献検索サイト、日本語文献検索サイトおよび複数の学会誌のハンドサーチにより、2015年9月7日にキユーピー株式会社社員2名で検索し、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患のない、乾燥肌に悩む健常者がヒアルロン酸もしくはヒアルロン酸Naを経口摂取することによりプラセボに比べて、角質水分量が有意に高値を示すかを検証した臨床研究を選抜しました。
(オ)主な結果
文献検索により4報の文献2‐5)が抽出されました。4報の採用文献からエビデンス総体として120mgのヒアルロン酸Naを経口摂取することにより、プラセボの経口摂取と比較して有意に角層水分量が高値を示すことが検証されました。ヒアルロン酸Na摂取に起因する有害事象はありませんでした。
(カ)科学的根拠の質
評価した文献の研究デザインは全て信頼性の高い試験系である無作為化コントロール比較試験であり、バイアスリスク(レビューの結論が偏ったものである可能性)の評価は低~中程度であったため、科学的根拠の質は機能性の評価に値すると考えます。
実施者であるキユーピー株式会社は本届出商品の機能性関与成分であるヒアルロン酸Naの原料メーカーであり、採用論文4報のうち3報はキユーピー株式会社が著者ですが、研究レビューについては著者を除いた社員で公正に実施され、エビデンスと本届出商品に表示しようとする機能性に齟齬はないと考えられます。
参考文献
1)Laurent TC et al., Hyaluronan. FASEBff J, 1992, 6:2397-2402.
2)佐藤稔秀ら, 乾燥肌におけるヒアルロン酸含有食品の経口摂取による改善効果. Aesthetic Dermatology, 2002, 12:109-120.
3)佐藤稔秀ら, 乾燥肌の皮膚水分値に対するヒアルロン酸含有食品の臨床効果. Aesthetic Dermatology, 2007, 17:33-39.
4)Kawada C et al., Ingestion of hyaluronans (molecular weights 800 k and 300 k) improves dry skin conditions: a randomized, double blind, controlled study. J Clin Biochem Nutr., 2015, 56:66-73.
5) 渡邉誠ら, 低分子ヒアルロン酸の経口摂取における美肌効果―プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験―. 薬理と治療, 2015, 43:57-64.
(構造化抄録) |